少しだけ苦い思い出。

敬老の日が近づいてきた。
姉のところに初孫が生まれて以来、毎年我が実家では娘からも両親に敬老の日のプレゼントを贈るのが「決まり事」となっている。

堅実な父はずっと実用的なクルマに乗っていたが、実は高級セダンが好きだった。
(助手席&ドライブ好きな娘である)私を乗せ、クルマを運転するのが好きだった父親。数年前に高齢のため目が悪くなり、免許を返上した。覚悟はしていたものの、いざとなるとやはり悔しいらしく……クルマを手放す当日は渋って家族を困らせた。

引き取り業者の人に

「またすぐ買い替えれば良いんだしな!」

と言い、やっと自分を納得させたようだった。

その時に私は、家族たちの心配から免許を取り上げたのは酷だったのではないか、もっと(目が悪くなる)前に中古でも父の好きな外車を「家族から敬老の日にプレゼント」をしてあげて、沢山ドライブさせてあげれば良かったのではないか、等と様々な思いが頭の中を駆け巡った。……そんなことを突然思い出したのは、定年退職を迎えた紳士が、『中古でお手頃価格の2シータースポーツカー』を満面の笑顔で購入するのを目の当たりにする機会があったせいかも知れない。

今、中古車を扱うこの店で働くようになってあたらめて思う。
クルマ好きは永遠にクルマ好き。そこに定年は無いのだと。

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MINAKO IWASHITA